真田町地域経済の振興を 平成14年3月議会の質問

        観光振興についての質問

カラマツソウ

1.深刻になっている地域経済

 最近、町内企業でもリストラ合理化で失業している人が増加しています。人員削減の対象とならなかった方でも一時帰休などで週に4日しか働けない状況も出ております。下請け企業についても、受注額が極端に減っているという声が聞かれるようになりました。
 全国の完全失業率は5.3%で337万人に達し、長野県では全国でも一番失業率が低い3.7%ですが、全国と同様に悪化の道をたどっていると言わざるをえません。
 10年間にも及ぶ不況が、地域経済に及んだ影響は多大になっております。真田町の基幹産業のひとつである観光産業で冬期の入り込み状況は、平成3年のピーク時に比較して4割ダウンとなっています。一方小泉内閣による構造改革の中心である不良債権処理の影響が出始めています。不況で観光客の減少が経営に大きな打撃を与え、借金返済が十分に出来ないところが、競売にかかり処理されることが、菅平でも出てきているようです。一つのホテルが倒産すれば、連鎖して他のホテルが倒産する可能性が強く出てきております。
 このような状況に至れば、真田町の財政においても、極めて憂慮せざるを得ない状況になるのではないかと心配する者のひとりです。
 また健全に経営しているところでも、年々借金が大きくなってきているという声も聞かれます。
 農業についても、価格の低迷で赤字を抱えた農家では家族ぐるみでアルバイトをせざるを得なくなっています。健康を害するのではないかという心配もしています。
 このような状況を打開していく必要がありますが、真田町あるいは広域連合として、どのように対処していくのか、あるいはしているのかを伺います。

町の回答(観光商工課長)

 ご指摘のとおり町の産業を含め、県内の経済情勢は低調に推移しており、雇用に対する不安や所得環境に改善がみられないことから、消費が引き続き弱い動きになっています。
 また、上田公共職業安定所管内の月間有効求人倍率(1月分)は、前月より0.03ポイント下がり0.51倍となっています。また、月間有効求職者は昨年3月以降10ケ月連続4000人台を推移してきましたが、今月初めて5000人を超えることとなりました。なお、1件10人以上の人員整理は3件93人となっています。
 このような中で、去る2月には関係市町村、公共職業安定所、商工会議所、職業安定協会が出席し、新宿市ケ谷会館におきまして、来春卒業予定の学生を対象に就職ガイダンスを開催しました。参加企業数は22業者、訪れた学生等は昨年並みの86名でした。
 その他一般向けの就職相談会は回行っています。また、県では、チャレンジ企業相談室を設置しまして、新たに事業を始めたい方や資金計画の立て方等につきまして相談に応じています。窓日は上田公共職業安定所内にあります。
 さらに、県や各市町村では制度資金の利率引き下げや、利子補給など主に融資面で支援しています。真田町も県と同様に制度資金の利率を引き下げました。しかし、いずれにしましても、景気対策は国レベルで効果的な支援策を施されない限り、なかなか上向いてこないのが実状でございます。
  また、町の基幹産業の一翼を担います観光産業ですが、13年の観光客数は113万人で、夏季(6月から9月)は66万人で昨年比0.4%の増加となっています。これはサニアパーク菅平が起爆剤となり、種々の大会が増えたこと、陸上合宿が伸びてきたことなどが要因と思われます。
 しかし、、その反面冬期(12月から3月)につきましては、約36万人で咋年比9%の減となっており、年問では2.3%の減となっています。
 また、菅平の年間観光客数は、91年の148万人をピークに減少しており、特に冬期の減少が目立ちます。このため,昔平を含めた町全体を観光地として発展させ、春秋も多くの客を呼べるような通年観光を目指していくことが必要となってきています。
 このため、町の観光振興協会では、自然や農林業体験などを希望する観光客の案内や、指導役を務めてくれる町民を(地域エスコーター)として登録しました。そして、この制度を修学旅行や一般客などが、気軽に自然体験できるような受け皿として導入していきたいと計画しています。
 また、観光産業の発展には、個々の旅館等や地域及ぴ行政等の連携は申すまでもありませんが、このような不況の時こそ個々の自助努力を発揮さ廿、特色ある運営をする必要があります。また、地域が一体となり知恵を出し、行動を起こすことが肝腎であると思います。この不況の中でも検討しているスキー場の特徴の一つは、一山一社、つまりリフトも旅館もレストランも貸しスキーも全て、同一会社で経営しており、全従業員が一人一人のお客さんに心を込めて応対しています。また、何か苦情が発生したときにも全体的にすばやく対応できる。リフト、宿泊、食事などをセットした魅力ある商品を次々とうちだしている。などが長所としてあげられます。
 サービス産業は毎年、時代に合わせ、また、ニーズに合わせた商品づくりなど素早い動きが不可欠です。
 これらの点につきましても、観光協会、旅館組合及び索道協会等地元の皆さん方と粘り強く話し合い、また、積極的に提言することにより、一歩一歩良い方向へ向け協力していきたいと思います。

2.全中スキー大会の成功と大会が地域経済に果たした効果

 この様な状況のなかで、全中スキー大会が開催されました。真田町役場をはじめ多くの町民のみなさまのご協力のおかげで成功裏に終了しました。大変ありがとうございました。菅平の一員として心から御礼申し上げます。
 この大会の成功と長野県のスキー大会週間でおよそ1億円以上の経済効果があったと思われます。このおかげで、中小の旅館、民宿・ペンションは救われております。
 いかに全国規模の大会を実施できることが地域経済を励ましてくれることを身をもって感じさせられました。改めて御礼申し上げます。
 先日、観光協会でスキー産業の元気なところを視察してきました。新潟県の苗場と上越国際の2カ所を視察してきました。この中で特徴的なことは日帰り客とボーダーを大切にしていることでした。ウィークデイでもお客さんが多くいたことには驚かされました。
 特に上越国際では数多くスキーヤーやボーダー、修学旅行生がいました。
 ここでは、平成3年4年のピーク時に比較し1割の減少で済んでいるということでした。経営の努力はすざまじいものがありました。お隣のガーラ湯沢が強風でリフトが止まったときは、上越国際の全てのバスを駅に出動させお客さんに必ず滑ってもらうという、地域ぐるみの取り組みがありました。もちろんJRなどもこの企画に参加していました。
 また、ここの特徴は1シーズン中に大会が50日開催されています。全国大会が数多く含まれております。このことが原動力になっているのではないかと推察されます。
 菅平高原では、今シーズンの大会開催は45日です。大会週間と全中大会を除けば35日です。大会が開催されれば一日当たり1千万以上の経済効果があります。
 今度の全国中学校スキー大会のスローガンは「菅平 燃える気持ちに夢 未来」でした。この標語は子供たちの願いでもあります。
 私たち行政に係わる者としても、この子供たちの願いに答え、将来の明るい展望を切り開いていく必要があります。
 菅平をラグビーの「花園」、高校野球の「甲子園」と同じような、スキーの「菅平」と言われるように育てていく必要があります。
 その点、町として、今回の大会の成功をどのように評価し、今後どのような取り組みをしていくのか伺います。

町の回答(観光商工課長)

 ご承知のとおり全中スキー大会は、2月5日から8日まで実施されましたが、大会関係者はそれ以前から多数訪れて宿泊し、このため菅平の多くのホテル、旅館、ペンション等が恩恵に被り活況を呈したことは申すまでもありません。
 また、これらの対価としまして、管平の関係者や、その他多くの町民の皆様、県や役場や開係の機関の方々の協力、そして県や町等から多くの予算が支出されたことも事実てあります,全国レベルの大会を一つ行うことがいかに多くの関係者の協力と、財源が必要であるかが、この大会で実証されました。
 さて、ご指摘のとおり菅平高原では、多くの町や民間主催の大会が開催され、しかも年々増加していく傾向にあります。今回の全中スキー大会の成功、とりわけ運営方法や対応、また、宿泊環境、さらに選手、役員への接待等々、これらが多くのスキー関係者の注目の的となり、管平は「すごいぞ」と、他の大きなスキー大会の間い合わせが既に入ってきているとも聞いています。
 しかし、多くの大会を招致するということは、まだまだ、大会施設の充実、運営ノウハウ等のレベルアップを図ることが必要となります。
 これらの点につきましても、地元の関係者並びにスキークラプの皆様方と話し合い、良い方向へ向け協力していきたいと思います。
 なお、大会による観光客の拍致は一時的なもので、必ずしも宿泊が定着するとは限りません。この大会を多いに活かしていただき、宿泊したお客がまた来年も訪れるように個々の努力で勝ち取っていただきたいと期待するものであります。

3.官民が一体となった観光振興対策を

 深刻な不況で観光産業の見通しも不透明になっております。冬期の観光振興は真田町や近隣の町村にも影響が大きいと感じております。冬期に農業が出来ない農家の方などがリフトに携わったり、旅館でのお手伝いなどで現金収入を得ている状況です。リフト会社がつぶれたら計り知れない経済的打撃があると推測しています。
 不透明な経済状況を地域でも、町でも対処しなければなりませんが、現在はその作戦本部がありません。例えば、JR、旅行会社、バス会社、地元の旅館業者、リフト会社など幅広く結集させた作戦本部を設置する必要があります。その結集を町が主体となってやっていただきたいし、その力は十分持っていると思います。町の考えをお伺いします。

町の回答(観光商工課長)
 町では観光事業の充実と振興を図ることを目的としまして、町、旅館組合、索道協会、菅平高原カントリークラブ、その他法人会員、賛助会員の皆様方によります真田町観光振興協会を、平成10年に設立しました。また、協会の中に、企画部会、広報部会を設け、観光振興に関する企画、調査、研究、また、協会の行う誘客宣伝を統括しています。このことから、県の修学旅行誘致推進協議会の計画に参加し、関東、関西、九州方面等への宣伝、更に菅平高原の夏、冬のパンフレット及びポスターの作製等を実施しています。また、地域エスコーターによります自然体験や農業体験、具体的には里山体験、炭焼き体験、トレッキング、ネイチャー体験等々の企画等があります。
 このように自然体験等の種目が多くなれぱなるぽど、多くの観光客に喜んてもらえ、選択肢も増えることとなります。また、観光客も多くなり,町の活性化につながります。
 不透明な経済状況の今日、町と地元とその他関係機関との合体で設立された本協会の期待される役どころは大変重責ではありますが、しかし、基本的には地元の皆様の各種団体の気持ちが一つになり、地道な努力の中から良質な企画が生まれてこそ、初めて外部の旅行会社や、JRと交渉が可能になると思われます。
 今、観光客の二一ズは多種多様に動いています.そのため経営者一人ひとりが現状を認識し、それに対応する施策を迅速に実行することが重要だと考えます。
 一つの例を拳げますと、杉並区の保養所(菅平学園)はH14年度で廃止されるといわれています。しかし、観光協会や旅館組含の役員の皆様方の粘り強い交渉の中で、Hl5年度は杉並区の中学生の移動教室は菅平に決定されたようです。しかし、残念ながらそれ以降は地元の対応次第でどうなるか分からないと言っています。
 そういったことをふまえまして、今のスキー客のニーズにあった対応を旅館やリフト会社など、それぞれの経営者の皆さんがが真剣に考えることが重要であると思います。
 また、町も皆様方が徐々に体力をつけることに関し、一生懸命協力していきたいと考えています。