市町村合併の進め方に疑問
市町村合併の是非は住民投票で
平成14年9月議会  倉橋重松 一般質問より
 
1.財政的に窮地におちいる市町村合併をなぜ「そんなに急いですすめるのか」が疑問
 今回の合併は財政上の観点からみて、非常に危険であることがはっきりしています。
 上田広域での合併は地方交付税が78億円の減少となります。町がすすめている、上田市、丸子町、真田町の合併でも真田町だけでおよそ8億円の減収となります。
 これは、町長が昨年6月の合葉議員の質問に答えていますが「段階補正係数が1.743で普通交付税交付金が21億円の40%程度、8億円ぐらいの影響がある。上田市規模で段階補正率が1.0。」と説明しているとおりの内容です。
 問題は、8億円の減収がどのような影響が出てくるかということです。
 それは、一般財源を投入している、町単独事業は3億円ほどで実施しています。その中味は、保育所や保育園の通園費補助、人間ドック補助、高齢者配食サービス、廃止路線バスの代替え運行、商工会補助、制度資金融資保証料補助、ごみ減量化機器補助、小中高生の通学補助、町道補修、学校給食費補助、スポーツ振興奨励金など住民生活に密着した様々な事業をおこなっています。これが財源不足でできなくなります。
 これらを全てやめても、さらに5億円ほど足りなくなるので、次に、想定されるのは各事業の予算を大幅に削減しなければならなくなるということです。
 道路整備や通信などの基本的条件の整備、生活環境の整備と社会福祉、学校教育や社会教育、農業や林業、商工業や観光などに一般財源から支出しているものは12億1千万円あります。
 この半分近くができなくなるのです。
 合併により、住民が受ける不利益は計り知れないものがあります。なぜ、この様な状況になる市町村合併を強引に押し進めようとするのか、町長の見解を求めます。
◇町長の答弁
 倉橋議員の質問にお答え申し上げます。初めに3市長の合併では真田町だけで地方交付税が八億円も減少となり各種事業に影響があるのではないかという質問でございますが、地方交付税の段階補正がすべて廃止された場合にそうされる影響額八億円と市町村合併の問題とはまったく別の問題でございますのでご理解をいただきたいと思います。
 が段階補正による総額とは人口十万人未満のを市町村が対象であり、人口が少ないほど補正係数が高くなっています。上田市、丸子町、真田町の合併においては人口十六万人余となりますので見直しによる影響額はありません。逆に合併を選択しない場合においては人口十万人未満ですから段階補正の見直しの影響をモロに受けることになります。倉橋議員のご質問の各種事業の影響は合併を選択しないときに発生することをご理解いただきたいと思います。なお合併した場合には当然にさまざまな面で経費が安くすみますのでそういった行政の効率化という面で基準財政需要額が減少し、理論的には地方交付税が減ります。しかし段階補正の見直しと違いこの場合には合併特例処置により合併後十年間は現行通りさらにその後五年間は調整期間を置くという制度になっておりますので、本来のを算定額になるのは十五年後ということになります。かりに今の制度が続くとした場合の十五年後の影響額は平成十三年度ベースとした資産になりますと3市町全体で十億費5千万円ほどの減少になります。これは3市町のを歳入全体額の一・六%、一般財源総額の二・四%という比較的軽微な影響を額であります。また国の厳しい財政状況を踏まえ地方制度調査会や経済財政諮問会議においてはさらなる地方交付税の減額、国庫補助金や負担金の減額、国税を地方税に振り替えるなど検討がされており、十五年後も今の水準で地方交付税が交付されるという可能性は極めて低いと考えております。
 
2.アンケート結果に対する疑問
 町長は当初「アンケートは実施しない」としていましたが、「職員のアドバイスもありアンケートを採ることにした」として実施しました。住民の意向を伺うことは大切なことであり、その実施について賛同するものです。
 しかし、アンケートをとるに当たっての町の説明に大きな問題があります。
 「明日の町づくり懇談会」の説明やアンケートにつけてきた説明書は、将来予測として財政が困難になるから、合併以外の選択肢はないとの説明だけであります。
 住民の中からは「こんな財政状況にしたのは誰か、その責任は町長にある。責任をとってやめるべきだ」との意見も出ております。
 私は、「確かに集中的に事業を行ってきており、平成16年度をピークにやり繰りに大変な時期はあるが、破綻するような財政状況ではない」と説明し、理解していただいております。
 これは、今まで行ってきた町の説明が、この様に誤解されて伝わっているということです。市町村合併問題についての町の説明が、いかに偏った説明であったかを証明しています。
 また、この様な偏った説明の結果がアンケートに反映されていると私は推測しています。
 アンケート結果は回収率47.8%で、その中でも「合併を積極的にすすめるべきである」が23.9%、「どちらかといえばすすめるべきである」が26.8%、合わせて50.2%の結果ですが、有権者全体から見れば23.4%となるわけです。
 私が、なぜこの様な数値を示したかとうと、私が接触し、意見を聞いた、住民の合併に対する反応は「できればしたくない」という意見が圧倒的に多いからです。
 また、東信ジャーナルに、丸子町の住民の方からの提言の記事がのっていました。
 その記事によると「驚いたのは、真田町長と丸子町長の経過説明の大きな違いでした。人口約1万人の真田町の報告では、町内23地区で町民と膝をつき合わせた懇談会で、合併のメリット、デメリットを十分に議論し、最後は9千人のアンケートをまとめ、町民から「もうわかったよ」と言われたほどに、住民の意見を聞いて決めたと胸を張って話す真田町長。」と報道されました。
 この記事を見て私自身、本当にびっくりしました。2回の説明会に出席した方は、菅平で見れば延べにして有権者の1割程度です。その他の地区でも、参加者は少ない状況です。そのなかでも反対や疑問の意見が多数あったはずです。十分に理解させた状況を作り出したとはいえないからです。
 なぜ、この様な誇張をした表現になっているか、大変疑問であります。
 これから任意合併協議会がすすめられますが、その内容について、住民に対する説明をどの様に実施していくのか、説明を求めるとともに、アンケート結果や住民との懇談会の反応に対する町長の考え方をお伺いいたします。
◇町長の答弁
 次に今後住民に対する説明をどのように実施していくのかというご質問ですが、その前に住民の皆さんが誤解されている部分があるということですので少し説明を加えさせていただきます。
 こんな財政状況にしたのはだれか、責任は町長にあるというのですが、現在厳しい財政状況にあるのは国であり、当町の場合13年度決算で先般ご説明をを申し上げましたが二億七千六百万円ほどの収支差額でプラスとなっております。町の財政状況はここ数年真田中学校の全面改築、本原小学校の体育館改築、菅平小中学校の特別教室や体育館改築など学校関係の整備を中心に積極的に投資をしてきたにもかかわらず、県内での財政指標の位置を平成十二年度決算でみると経常収支比率では百二十市町村中高い方から五十一番目、起債制限比率においても五十六番目とともに中位であり、その率も平成十三年度でそれぞれ七十七・一%、九・四%、と適正範囲であり、引き続き健全財政を堅持しておりますことをご理解いただきたいと思います。そのうえで国の財政状況を冷静に分析してみますと今のままの水準で国から市町村への財政支援が続けられるということは極めて難しい厳しい状況でありますことはも町民皆さまがご存じのとおりであります。そういう意味で自主財源の乏しい多くの市町村は行政サービスを落として単独でいくか、合併をして効率化を進めできるだけ行政サービスを落とさないでいくかという選択判断が必要となっているということでございます。先般自治日報に報道されてます記事内容によりましても、十七年の三月まではいろんな支援策を講じて、自主的合併を推進していくと十七年三月以降合併特例法期限後には小規模市町村の自治体権能の取り上げ等々を真剣に議論されているということでございます。将来の行くすえをしっかり見定めもろもろの情報を集約して感情にとらわれることなく三十年後四十年後の町民の幸せを目指していくのが私に与えられた責務と考えております。
 さて、住民に対する説明の方法ですが、ひとつとしましては区民の皆様と合併協議会とのつなぎ役として、これから任意合併協議会が設立されますと各区から昨日も区長会でお願い申し上げましたが三名ほどの方をお願いし全体でそうしますと百八名になりますが、百名ぐらいの人にお願いしていろいろ協議会にかける事項について議論をいただきまた逐次会議の内容を報告し状況を区民にお知らせするつなぎ役をしていただきたいとこう考えております。上田市においてはすでに、百有志員委員会という委員会がございます。住民の方々の。この委員会を活用していくという、いきたいという市長の発言ございます。これは百名おられるようでございます。丸子町においても真田町と同様な方法をとって住民ぐるみの合併あるいは協議し推進を図っていきたいとこう述べておられまして、それから二つ目は合併協議会の状況を単独の広報紙にまとめ全戸へ配布ししていきたいと考えております。
 
3.町長の合併問題に対する考えが変わったのは、どの様な理由か
 以前、町長は「小回りのきく自治体であるべきだ」と発言しておられます。「小回りがきく」ということは、10万人や20万人規模の自治体では不可能であります。
 町が行った、佐々木先生よんでの合併問題講演会以降に町長の合併問題に対する行動や考え方が大きく変わりました。なぜ、変わったのか、その理由をお聞かせ願いたい。
◇町長の答弁
 次に合併問題に対する行動や考え方がなぜ変わったのかという質問でありますが、過去四十年間市町村合併が進まなかったのは首長も議会も住民も職員もできるならば今のままがいいと考えていたからであります。二十歳代も高度経済成長に乗り多くの分野で行政サービスも充実されてきました。私の各地区の懇談会で申し上げてきた通り、以前は広域連合という形でもう少しやっていけるのではないかと考えておりました。しかし昨年夏あたりから全国各地で私が想像していたよりペースで合併の論議が巻き起こってきました。これは議員皆様も町民皆様も十分ご承知のことでございます。私はそのころからもっと積極的に情報収集をしないといけないと考えさまざまな文献を読んだり町民の皆さまと講演会を聞いたり勉強会に出かけたりしてきました。また懇談会などを通じて多くの町民の皆様からも貴重なご意見を頂戴してきました。そういった過程の中で今のままでやっていければ一番いいけどこの状況は長くは続かない。大きな時代の変化がやってきた町民の皆様の幸せを第一に考えるならばどういう選択がいいだろう、こういうふうにだんだんと方針が固まってきてわけでございまして、方針を変更したということではなく私自身も勉強情報の収集により考え方が固まってきたとこういうことでございます。これらの状況の中で自分の立場ではなくて町民の幸せを第一義にいつも議会の皆様に申し上げておりますが私たち行政の立場も議会の皆様も目的はひとつである。町民の幸せと町の発展以外には目的がないと申し上げておりますが、その二つの点に力客して考えるならば今申し上げた方向がよりベターであると考えが固まったとお答えを申し上げておきます。
 次にアンケート結果や懇談会の反応に対する考え方ということでありますが、郵送方式という強制しないまったく任意のアンケートの場合四十%の回収率というのは平均的な率でありましてこれは分析をお願いしたい業者も四十%台というのは普通のレベルだと言っております。例えばこれを区長さん隣組長さんにお願いして各区に持って回収を強制する場合にはもっと上がりますが、まったく誰が回答したのかどうかを不明な状態でやっているのはこれが平均的な率であります。同じ方式でアンケートで行った近隣の状況を見ましても上田市四十四・九%、丸子町四十七点九%、東部町四十一点五%という状況であり真田町の四十七・八%は決して低い回収率ではないということご理解いただきたいと思います。
 また上田市、丸子町、東部町においては調査対象二千人ということであり、実質的に回収数においては真田町とはだいぶ開きがあります。一般的に百人くらいの回収ができれば、失礼しました。一般的に千人くらいの回収ができればその結果の信頼度は九十五%と言われておりますので四千四百人を超える皆様からの回答をいただいた真田町のアンケートは十分に真田町の町民の意向が出ていると考えております。また四十回を超える懇談会においては積極的なご意見も慎重なご意見も共にありましたが、地域によっては発言内容が異なるということがありましたが、町全体としてみれば私の考えと同じ方向が多かったと理解しております。それぞれの地区によって反応は違いますが町としては多くの地区で同であったかということを考えます。日本の憲法においても住民は平等であると規定されておりますが、平等というのはすべて教育の平等と同じようにすべて同じ教育を受けるということでなくて教育の機会が平等に与えられるということでございましてこの種の懇談会も機会があればそれを選択するしないは住民の任意ということになります。
 
4.かつての上田市と川西村の合併協議事項も反故にされている
 先日、町議会の合併問題調査特別委員会で上田市議会との懇談会をもちました。そのなかで、元川西村出身の議員さんの話では、「協議事項は全く守られていないし、その協議事項は今はどうなっているか分からない状況です。」ということを聞きました。
 また、ある議員さんからは、「上田市は川西村、殿城村、塩田町と同じようにしか考えていないよ。」という話しであります。
 これは吸収合併と変わらない考え方であります。よくいって合併特例債を使ってどれだけ多くの施設を作れるか、だけの協議にならざるを得ないのです。それは、先程申し上げましたように、財政状況がゆるさないからです。
 また、住民負担は強まります。住民一人当たりの住民税は500円のアップになります。都市計画区域に編入されれば、現在の固定資産税の14%が都市計画税として新たに負担しなければなりません。住民にとっては良いことは何もありません。
 この様な状況でも、合併を強引に押し進めようとするのですか。町の見解を求めます。
◇町長の答弁
 次に旧川西村について触れられておりましたがこのことについては見解を述べる立場にありませんので差し控えさせていただきますが、様々なサービスや負担についてはこれから合併協議会を通じて議論されていくことでありそこでは今よりサービスのよくなるもの、見直しが必要なもので、負担が軽くなるもの、少し増えるものなどいろんな形で調整されてまいりますので、その一部だけを見ることではなく全体としてとらえていただきたいと思います。合併協議にあたっては総花的にサービス水準を高めるということは考えておりませんし、今まで実施してきた事業、いわば既得権を全て守るということも考えておりません。住民のニーズと将来における財政見通しを的確に見極め、住民にとって真に必要な施策には積極的な投資をし、住民満足度の低いと思われる事業については思いきった見直しが必要と考えております。
 
5.合併の是非は住民投票で決めることを求める
 住民の方からは「合併の是非は私たちに決めさせて」という声が、多数あります。
 自治体は町長や町職員のものではありません。住民のものです。行政や我々議会人が勝手にどうこうして良いものではありません。地方自治の本旨に基づいて、最終的には住民投票で決するべきと思いますが、町はその考えはありますか。それを伺って私の質問とします。
◇町長の答弁
 最後に住民投票をどのように考えるかということでありますが、わが国においては間接民主制でいわゆる議会制民主主義を原則としております。ので住民を代表する議会の判断が大切でございます。多くの場合議会の議論が信頼できないという場合には住民要求により住民投票を行う場合がありますが真田町議会は幸い十分住民の信頼に応えていると評価できますので今後とも議会との関係を十分に配慮しながら慎重に検討することが必要と考えております。